横浜FC選手別攻略法(ボランチ編)
ボランチが車のハンドルを意味する言葉なら、ハンドルの目的は進行方向を変えること。ハンドルを回す、ステアリングコラムを通じてラックアンドピニオンギアが回転する、タイロッドが動く、ロッドエンドを通じてハブの向きを変えタイヤが進行方向を向く。さらに、タイヤと路面との間にコーナーリングフォースが生み出され車の向きが変わる。
タイヤの向きを変えることがゴールを意味するなら、各パーツのそういったリンクをイメージしながらプレイし、ゲームを組み立てるのが優れたボランチ。ハンドルを回してから実際にタイヤが向きを変えるまでには、色んな部品のリンクをたどっていることを理解し活かそうとすることがチームプレイ。
その途中では当然「遊び」が生まれ、ハンドルを切るタイミングと実際にタイヤが向きを変えて、さらに進行方向が変わるまでには多くのタイムラグがある。そのタイムラグに合わせて適切なタイミングでハンドルを切ることが必要なポジション。
自分の手だけで直接舵の向きを変えられるのは船外機付きのプレジャーボートまで、一生F1はおろか軽自動車でさえ運転できない。そのプレイスタイルをもった選手を配備されている位置だけでボランチと呼ぶのは間違い。
30 MF 山口素弘
あえて語ることなし、横浜の至宝。
山口は、周りの選手の力量に合わせてプレイスタイルを変えつつある。新潟に比べると選手一人一人の判断が遅い、視野が狭い、資質が違うなどの色々な条件(要するに個人の総合力が低い)を考慮して、加入当初に見せていた、少ないタッチでボールを動かそうとするプレイスタイルから一度自分のところで落ち着かせようとするスタイルに変えた。
おそらく、本来の山口のプレイスタイルについて来れるのは、佐藤、城、カズの3名くらいで、残りの大半の選手はついて来れない以上、チームとして自分自身が機能するためには自分自身のプレイスタイルを微調整しなければならない。チームの中で活きチームを活かすためのプレイを選択することができ、プレイスタイルの変更でさえ「微調整」の範囲に過ぎないという柔軟性。
山口の個人能力に死角なし。ただ唯一の攻略ポイントは、周囲との連携をいかにして切るか。人に活かされ人を活かすことが彼のプレイスタイルであり、人に活かされることも人を活かすこともできない状況を生み出すことのみが間接的に彼を攻略するただひとつの方法。
彼にナリを直接ぶつけて、マンマーク的に彼の仕事を封じ込めることもひとつの選択肢ではあるが、そのやりかたではバイタルを空けさせることは難しい。いちばん効果的な方法は、ピッチの横幅70mを彼一人でカバーせざるを得ないような状況に追い込みバイタルを空けやすくすること。
彼の優れたカバーリング能力と危機察知能力を逆手に取って、危険なスペースを埋めカバーに回っていたら、『いつの間にかワンボランチになって走り回らされてました』という不憫な状況に追いやること。ラインを上げないディフェンダーとワンボランチとなってしまった山口ではカバーしきれない範囲に、ホリコシが望むj広大なスペースを生み出すことができる。
10 MF 内田智也
「現在、売り出し中」の選手で、横浜FCとしてはマスコミへの露出など含めて看板選手にしたい意向。サポの間では、トラップやキックなどの技術に優れた選手として認識されているようである。私自身は、このポジションに配置する選手は技術的能力よりも、戦術的能力の優れた選手の方が適切だと考える。戦術的能力とは、戦う術を持っているということ。最終的にどうやってゴールを奪うのか。全てはそこに集約される。
マイボールのときは当然どうやって攻撃を組み立てて行くかを考える。相手ボールの時はどうやってボールを奪い攻撃に転ずるのかを考える。おそらく山口とコンビを組むであろう彼を悪い意味で「調子に乗せる」ことで、山口をワンボランチ化させて中盤に空きを作り出す。
とはいえ、本当に調子に乗せて自由にさせたのでは意味がなく、内田にボールを持たせるけれども、きちんとゴールに向かうようなドリブルのスペースは与えず、常に外へ外へとドリブルの進路を追いやりながら、周囲との連携がかみ合わなくなるまでボールを持たせることが肝心。
本人もドリブルには自信を持っているようだが、そのドリブルは直線的であり平間のようなドリブルをする。当然スピードに乗せればそれなりの脅威になるため、ドリブルをはじめて5歩目までに、外へとコースを限定させるポジショニングを肝に銘ずる必要がある。
6 MF シルビオ
トリニダードトバコ代表選手。中南米W杯予選出場のため天皇杯には出てこないはずだが、南米系の選手らしい高い個人技とフィジカルを持つ。特にミドルシュートの切れ味はホリコシがかつて経験したことのないレベルにあり要注意。
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