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歓喜と惜別

2007年1月14日、M.I.EランポーレFCの東海リーグ2部への昇格をかけたヤマハ発動機との試合を最後に、高木成太はプロサッカー選手としての現役生活にピリオドを打ちました。

まずは、M.I.EランポーレFCの選手ならびに関係者の皆様に、東海リーグ2部への昇格をお喜び申し上げますとともに、現役最後の試合を感動的な勝利で締めくくる機会を与えてくださったことを感謝いたします。試合終了後まっさきにナリの胴上げをしてくださったことは望外の喜びでした。皆様の益々の発展といつの日か三重県からJリーグチームが誕生することを楽しみにしております。

続いて、駆けつけてくださったFC岐阜サポーターの皆様に、盛大な応援とナリタ・コールでM.I.EランポーレFCおよび高木成太を後押ししてくださったことを感謝いたします。残念ながらFC岐阜では出場機会も少なかったにもかかわらず、試合終了後は多くの花束と声援でナリを送り出してくださってありがとうございました。みなさんと一緒に即席で歌ったランポーレの応援歌は一生忘れません。

続いて、中尾康二選手、オフの貴重な時間を割いて観戦に訪れてくださってありがとうございました。まさか、岐阜の地でナリと君が一緒のチームになってJFL昇格を共に目指すとは思いもしませんでした。ナリとの食事会に橋元選手とともに同席してくれた時、FC岐阜に賭ける覚悟が十分に伝わってきました。まだまだこれから苦難の道程は続くでしょうが、胸の中の熱い思いを失わずに頑張ってください。中部地方に不慣れなナリの面倒を良く見てくださってありがとうございました。

最後に、各地から遠路はるばるナリの最後の試合を観戦に訪れてくださったゆかりのある方々に感謝します。決して長いとは言えないし順風満帆とも言えなかったナリの現役生活でしたが、ナリの現役最後の試合をこんなにも多くのゆかりある方々が観戦に訪れてくださったことは、これから第二の人生を歩み始めるナリにとっては大きなよりどころになると思います。本当にありがとうございました。

ナリのラスト2試合は、2007年1月13日13時から、まずは愛知県リーグ1位のFCゴールと鈴鹿スポーツガーデンのメイングランドでの対戦でした。この試合、中盤をナリのワンボランチにしたダイヤモンド型4-4-2(JFL時代の横浜FCが採用していた布陣です)の布陣を敷くランポーレは終始優勢に試合を進め、FCゴールのFWに的確なボールを入れさせることなく試合を支配します。

ナリは、どちらかというと守備に重点をおいて中盤の底でボールをさばく役割に徹し、FCゴールの攻撃を中盤でつぶすことに腐心していたようです。(仲間内では翌日の試合を見据えた『省エネモード』と呼んでいましたが...(^。^))ダイヤモンド型のワンボランチとはいえ、10番の藤庭選手が精力的に動いて守備にも積極的に参加してくれるのでナリとしてはやりやすかったのではないでしょうか。

JFL時代の横浜FCで、中盤の底に控えてナリを自由にさせてくれていたごっさんの姿がナリにかぶって見えました。若く才能のある藤庭選手の力を存分に発揮させることが自分の仕事で、昇格への近道なのだと思っているかのようなプレイでした。

結局、この試合に4−0で勝利したランポーレは、翌日静岡県1位のヤマハ発動機と対戦することになりました。ヤマハ発動機といえばジュビロ磐田の前身だったはずですが、ジュビロ磐田とは別にヤマハ発動機としての部活も継続していたようです。

ナリのラスト試合は、非常に厳しい戦いでした。さすがにサッカー王国静岡の県リーグを1位で勝ちぬけてきたチームだけあって、チームとしての組織力も個人の能力も非常に高いレベルにあり、お互いに一進一退の攻防を繰り広げます。

この日のナリは、前日の『省エネモード』とは打って変わって、スペースが空き気味になる中盤を縦横無尽に動き回って相手の攻撃を遅らせ、自分たちの攻撃を組み立てようとしていました。前日とは違って空き気味になる中盤をドリブルで持ち上がってパスを供給するシーンが目立ちます。

ランポーレFCは2度ばかり決定的なチャンスを迎えますが、ゴールを奪うことができず訪れた観客をズッコケさせます。一方のヤマハ発動機も決定的なチャンスを外し延長戦の気配が濃厚になってきます。ロスタイムの2分が経過しようとした最後の攻撃で、ランポーレの左サイドから放たれたループ気味のシュートがヤマハのゴールネットを揺らしました。

我が目を疑った一瞬。

ふとした静寂が打ち破られ歓喜が爆発した一瞬。

めまいがするほどの喜びの中で吼えた一瞬。

ゲームの再開を告げるホイッスルの直後に長く鳴った笛の音。

泣き崩れるヤマハの選手たち、喜びを爆発させるランポーレの選手たち、輝くナリの笑顔。

ロスタイム終了間際の決勝点から、試合終了のホイッスルが鳴るまでのほんの数十秒の時間を私は一生忘れないでしょう。お飾りの引退試合ではない本物の歓喜の中で、現役に別れを告げることができた高木成太はサッカー選手として間違いなく幸せ者でした。遥か昔にサッカー選手だった私がジェラシーを感じるほどに幸せ者だったと思います。

井原、北澤や沢登などのように引退試合を開催してもらえる選手は幸せだと思ってきました。人知れず現役を引退してしまう選手がほとんどなのに、サポーターに感謝され惜しまれて去っていく有名選手を羨ましいと思っていました。

そんな気持ちがあったから、昨年、FC岐阜に移籍することになった時、『岐阜で現役を引退しよう。岐阜に骨を埋めようよ。何としてでもFC岐阜と一緒にJリーグに戻ってサポーターに愛されて引退しよう。』と話し合いました。ちょっと予定外に早い引退になってしまったけれど、ちょっと岐阜から斜めに外れたところで引退になっちゃったけれどナリらしくていいよ。きっとシゲもナ・マ・イ・キだと言って羨ましがってくれるよ。

毎年何十人ものプロサッカー選手たちが現役に別れを告げて行く。でも、本物の歓喜の中で現役最後の試合を終えられた選手はきっと少ない。ナリは間違いなくその一握りの選手の中にいる。引退試合を開催してもらえる有名選手よりも誰よりも高木成太は羨ましい。そして、そんな選手を今まで応援してこれたことに感謝している。

高木成太、誰よりも君のサッカーが大好きだった。君に会えて本当に良かった。北は北海道芦別市から南は佐賀県鳥栖市まで色んな所に君と行ったね。J1から県リーグまで、色んなカテゴリーのサッカーを君と一緒に楽しんできたよ。

横浜フリューゲルスを失い、もうサッカーを見ることはないとも思った。失意のどん底から、泣き濡れたあの日々から、再び這い上がってこれるとは思わなかった。でも、そんな僕たちを再び日のあたる場所へ、三ツ沢のゴール裏へと連れ出してくれたのは君と横浜FCだった。僕たちは、君がいたから再び「そこにサッカーのある人生」に戻ってくることができた。僕たちは、君と横浜FCに救われた。

ピッチを去っていく背番号3をずっと最後まで見つめていたよ。そして、君の姿が控え室に消えた後、一緒にいたゆかりの人々と堅く握手して「お疲れ様でした」と声を掛け合ったんだ。次は東京で君を囲んで呑もうと約束したよ。
でもね、本音はみんな一緒なんだ。

『ちくしょう、悔しいなぁ...』

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